はじめに
今回は三連星について私が研究してきたものをまとめて解説していきます。
個人的には三連星自体はあまり打たないのですが、何かと大事な対局で使ったりするので思い入れのある戦法です。
三連星を打った対局を解説した記事もあるので、よかったらこちらもご覧ください。
三連星とは
三連星とは画像の通り、3回連続で星に打つ戦法です。

三連星の狙いとしては、手厚くしたり模様を拡大して大きな地を作ることです。
なかでも武宮正樹先生の宇宙流は有名で、三連星を詳しく勉強してみたい方は棋譜ならべをしてみることをオススメします。
こちらの対局は特に私が好きな1局なので、是非ご覧ください。
基本的な打ち方

白6では隅にカカって来るのが最も多い打ち方で、次の黒はいくつかの対応策があります。
従来の対応策
昭和の時代によく見られたのは一間バサミで、白を封鎖して厚くする狙いです。
白6では上に出ていくのもありました。


ですが白6では隅の方にサガルのがAI推奨で、この図になると黒が甘いようです。

牛角三連星
牛角三連星とはカカリに対してコスミで受ける手で、ある意味白の三々入りを誘っている感じがします。
ちなみに白6と白10はAIによるとこの順番で打つのが正しいようです。

次に黒は右辺の切りを放置して大場に向かう展開になりますが、白は切っていくのが大きいようです。
こちらが一例で、黒31まで難しい戦いに発展します。

最近の本で紹介されていた手法
カカリに対して上にツケる手が最近の本で紹介されていました。
実際、最近三連星を打つ人はこの手法を用いています。
また白2ではノビがAI推奨となっています。

右辺一帯に黒模様ができましたが、AIはこの進行をあまり評価していないようです。
ここから白が上手い手順で捌きにいきます。

白20のツケが上手い切り返しで、隅とも関連して捌きにいきます。
そして黒31に対して…

白32が痛快な手筋で、AIに初めて見せられた時は衝撃でした。
その後白38まで見事に捌いて白良しです。

放置プレイ
白のカカリに対して放置する手もあります。
ただし白に隅を連打されるので、どう打たれても対応できるような対策が必須になります。



3つほど例を出しましたが、白に選択権があるのでよほど自信がないと放置するのは難しい手法と言えます。
AI推奨
カカリに対してAIが推奨しているのはコスミツケでした。
三連星を敷いたので初めは意外に感じましたが、打ってみると案外有力に感じました。
私が岩手棋聖のタイトルを初戴冠した時もこの打ち方を採用して勝つことができたので、一番思い入れがあると言っても過言ではありません。

黒15からの構想が面白く、白26まで互角の進行になります。
白10でサガリは黒11のツケが良い手で、白22までなると黒優勢です。

シンプルな打ち方
一番シンプルな打ち方は単に一間ビラキで、続けてカカリに来られても同じ受け方で問題ありません。
上辺と下辺のどちらかに挟む手が見合いなので十分です。

また白のノゾキに対しては、三連星を活かして咎めにいくことができます。



ダイレクト三々

最後に白6でダイレクト三々に入って来た時を紹介します。
三連星としての目的である模様拡大をお手伝いしてしまうようであまり見かけないですが、昨年の岩手棋聖戦挑戦手合で出現したので解説していきます。
迷わず広げる
相手が実利を取ってきたので、迷わず模様を広げていけば問題ありません。
黒5では黒ケイマと白コスミの交換をするのも有力です。

まとめ
プロの対局ではまったくと言っていいほど三連星を見かけなくなりましたが、アマチュアでは今でも全く問題なく通用する戦法です。
実際、昨年の赤旗名人戦では小野慎吾さんが三連星を用いて全国優勝しています。
黒番を持てば初心者からでも使える戦法なので、一度試してみるのはいかがでしょうか。