はじめに
東北六県大会直前の研究会で副将を務めた方と対局しましたが、得意の三々布石の前に為す術もなく負かされてしまいました。
岩手に戻ってきてから互先では唯一の敗戦で、岩手全冠制覇を目指している私にとって超えなければならない壁だと感じました。
ですので、岩手竜星戦の1ヶ月前から囲碁AI Golaxyを用いて三々対策を徹底的に行いました。
岩手竜星戦では対戦はありませんでしたが、準々決勝と準決勝の相手が三々を打ってきたので対策が活き、結果として優勝することができました。

その後、岩手棋聖戦挑戦者決定戦の準々決勝で対戦し、対策通りに局面が進行してリベンジを果たすことができて嬉しかったです。

今回は以前行った三々対策をまとめました。
三々を打たれて困ってしまうことが多い方は、ぜひ参考にしてもらえたらと思います。
局面図

黒番目線で、白番の相手が両三々を打ってきた場合を想定します。
AIは5手目で大きく分けて3通りを示していましたので、順に解説していきます。
星からシマリ その1

1つ目は星から内側にシマる手です。
次の白の一手は、両三々に打った関連から右下へダイレクト三々に打ってくる可能性が高いです。
ダイレクト三々 その1

黒の押さえる方向は好みの問題なので、好きな方を選ぶと良いでしょう。


ただし、2枚目の定石は難解なものに突入するので、わからない場合は単にノビるのをオススメします。

星からシマリ その2

この場合でも白はダイレクト三々に入ってくる可能性が高いです。
ダイレクト三々 その2

この場合でも押さえる方向は好みの問題です。


星からどちらにシマるにしても、黒は模様を広げる展開となりそうです。
三々に肩ツキ

最後は三々に肩ツキをする手です。
三々は地にカライので、先に制限しておこうという方針です。
私はこの手が一番わかりやすいと思っており、実践でも使っています。
白はどちらかに這うことになりますが、黒の受け方は2通りあります。
黒の受け方


この後、白はカカリやダイレクト三々などに打ってくることが想定されますが、肩ツキによってできた中央への勢力を活かして手厚く打つことをオススメします。
時期を見て、もう1つの三々へ肩ツキをしても良いかもしれません。
その後の進行


どちらの進行図もすべての黒石が連動して模様を広げるのに役立っているのがわかるでしょうか。
AI評価値はまだまだ互角ですが、白は黒模様を消すのに苦労しそうな印象を受けます。
まとめ
今回は黒番での三々対策を紹介しましたが、白番でも考え方は同じです。
囲碁は「最後に陣地が多い方が勝ち」のゲームなので、三々に打たれたことで途中で相手の地が多く見えても焦らないことが肝心です。
また、三々対策を行ったことで、自分が使わない形でも相手が使ってくる形は対策しておいて損はないことがわかりました。
私は今後三々を使うことはないでしょうが、岩手竜星戦の2回戦で相手が三連星を使ったことがきっかけでAI研究し、野狐9段戦や岩手棋聖戦挑戦手合で私が使って勝利するということにもなりました。


より自分に合った戦い方が見つかるかもしれないので、皆さんも独自の研究をしてみてはどうでしょうか。
ただし、ハメ手定石の研究は程々に笑