はじめに
先日の野狐9段戦で最新定石を打たれたので紹介します。
テーマ図はこちらです。

この定石は一力2冠(当時)の棋書にも掲載されていたので見たことはありましたが、実践で使われたのは初めてなので戸惑ってしまいました。
ですので今回は、最新定石の進行と簡明な変化を解説していきます。
みなさんのお役に立てれば幸いです。
最新定石の進行
最新定石は白が小目にケイマでカケるところから始まり、白12までは一本道で進みます。

次の黒の手は2通りあるので、それぞれ解説します。
ツケる手
1つ目は白10の下にツケる手です。

こちらの進行はわかりやすく、定石は一本道で収束します。
その後の進行はこちらです。

黒は厚みを築き、白は先手で根拠を得て大場に先行できます。
オサエる手
2つ目は白12の右にオサエる手で、少々難解な進行となります。

その後の最善の進行はこちらです。


黒5と一線をハネてから黒7と戻るのが妙手で、白が取りにきたときの粘りの筋を残しています。
右下は白から打てばほぼ取れていますが、黒から打っても簡単には取れない形なので、白14では大場に打つくらいです。

厳密に言えば黒からセキ狙いのコウを仕掛けることもできますが、黒の負担が大きいので現実的では無いでしょう。

黒5を打つ理由
黒5の一線ハネを打つ理由は、白8取りにきたときにわかります。

仮に黒5を打っていないと無条件で取られてしまいます。


黒5の一線ハネを打つことで、白8に対しては黒9のツギから逃れることができます。

次の白12は2通り考えられますが、どちらも黒有利な展開となります。
コウになる変化

白12と捲くって、黒19までコウになります。
白はこのコウに負けるわけには行かないので解消しますが、その隙に黒は2手連打できて下辺の損失を取り戻すことができます。
攻め合い勝ちになる変化

白12のコスミから黒23まで2線を這いますが、黒25で攻め合いは黒勝ちとなるので実利が大きく黒有利です。
番外編 白の難解な応手
白12では右下に迫る手もあります。

その際は黒2・4と抵抗する手がよく、以降は難解な進行になるので省略します。
詳細を知りたい方は本を購入して読んでみてください。
黒はこの定石を選択するならば絶対に覚えておかないといけない変化なので、相当勉強が必要になります。
白の簡明な変化
黒が2間にハサんできた場合の簡明策もご紹介します。

白4と一路控えてカケるのがわかりやすいです。
黒は隅と辺の両方を打てていますが、白も手厚く先手を取れるので十分です。
白12では手抜いて黒13辺りにハサむ手もあります。
私も今後はこの進行でいきたいと思います笑
まとめ
AI発の最新定石が多数出てきましたが、自分の実践に出てきて、かつ気に入ったものだけを覚えれば良いと思います。
また相手が最新定石に誘導して来ても、回避する手段はいくらでもあるので安心してください。
定石では最善を打たなくても形勢にはほとんど影響することはなく、中盤の石が混み合ったところで読み負けしないことが一番重要です。
なのでみなさん詰碁をやりましょう(?)