かおり杯
OGSにて第3期かおり杯棋聖戦が開催されました。
以前開催された第2期かおり杯名人戦では、あと1勝の差でリーグ優勝を逃して名人戦優勝者決定戦に進むことができませんでした。
棋聖戦の方は初参加でしたが、当時野狐8段だったのでAリーグからスタートとなりました。
今回はその中の1局を題材にしようと思います。
八段塾
5月1日(土)に大田区にある「カフェと囲碁 ひだまり」にて「八段塾」に参加させていただきました。
私は5月末で岩手に戻ることになっていたので、これが最初で最後になると思って臨みました。
ネット碁高段者のみが参加できるイベントで、院生やインストラクターの方も来ています。
6月には芝野龍之介プロも参加したそうです。
1局目で最近院生になったばかりの小学生と当たりましたが、その対局で私はハメ手定石を使われました笑
実践では最善の変化に持っていくことができず、ヨセで盛り返しはしましたが結果は私の5目半負けとなりました。
私の白番で逆コミ6目半の手合でした。
ハメ殺ししたいと思っていた
やられっぱなしはつまらないので、そのときに教えてもらったハメ手定石をいつか私も使ってみたいとずっと思っていました。
ちょうどそんなときにかおり杯の一局でハメ手定石を使える場面がやってきたので、この対局でハメ殺ししてやろうと思いました笑
実践の進行

左上の三々定石が焦点となります。
黒はシチョウが良いときに限り、この定石を選択できます。
参考図1

この場合白3のキリは成立しないため、白は他の受け方をする必要があります。
参考図2

黒2に対して断点を守る打ち方です。
白3では一路左に打つのもあります。
参考図3

黒2に対して強くハネていく打ち方です。
お互い隅でセキの形になり、厚みを築いています。
黒16のキリに対しては別の打ち方もあります。
参考図4

白が隅の黒を取りに行く変化です。
白地が大きいようですが、黒も厚みを築いて上辺白への利きも見れるので互角のワカレです。
ハメ手開始
ここで紹介するハメ手は一路外す打ち方です。

ネット碁だと間違いなくクリックミスを疑いますね笑
ボクも最初院生の子に打たれたときはびっくりしました。
その時の実践ではこのように打ちました。
参考図5

単に黒1とサガルのが筋かと思いましたが、これでは少し不満なようです。
この形はヨセで黒地が削られます。
参考図6

将来的に白1目が助け出されてしまうため黒不満なワカレです。
黒17で18に打つのは、8の上に打たれて取られてしまいます。
正解図

一度黒1と出てからサガルのが正しいようです。
いかにもハマりのような手ですが、これを交換することで先程のヨセがなくなっています。
ではここからはかおり杯での実践の進行を紹介します。
ハメ手後の進行

実践ではこのような進行になりました。
評価値を見ると、すでに白の勝勢となっています。
黒は白2目へのアテから取りに行きましたが、隅の特殊性により簡単には取れず逆に黒が危なくなってしまいました。
白は黒1目取りに行った手でカケた石に手を戻すのが勝ったようです。
参考図7

ここからは実際に実践の進行を見てもらいたいのですが、白は左上のコウを仕掛けて左下の黒と振り替わりになりました。
そこからは全体的に厚く打ってリードを保ったまま中押し勝ちとなりました。
まとめ
院生に使われたハメ手定石をうまい具合に再利用することができてよかったです笑
ですがこの定石は二度と使わないでしょう。
他の誰かに使われたときに正しく対応することができるだけで満足ですから。
第3期かおり杯棋聖戦ですが、運良く全勝でSリーグ昇級を決めました。

来期ではSリーグ優勝してかおり杯棋聖の座を頂きたいと思います。