はじめに
予告していたとおり、今回から4回にわたって「第3回東洋囲碁×横浜囲碁サロンオンライン囲碁大会」の対局を解説していきます。
1回戦の対局相手は、前回優勝の欧米かさんでした。
トーナメント表が送られて来た時にいきなり対局できることを知り、とても楽しみにしていました。
欧米かさんは囲碁アプリや囲碁AIを開発している方で、棋力も野狐9段に何度も昇段している実力者です。
先日投稿した武宮九段の棋書に書いてあったことを参考に、勝敗に拘らず自分の打ちたい手を打とうと思い対局に臨みました。

持ち時間は30分+秒読み20秒です。
私の黒番となりました。
第1譜 1〜34手目まで

お互い2連星で始まりました。
黒5のカカリに黒7の星から一間トビは、おそらくあまり前例が無いと思います。
研究していく中で打ってみたくなったので、この場で試してみることにしました。
白8のダイレクト三々から黒23の構えまで一段落し、黒の模様VS白の実利という構図になりました。
白24から隅で治まり、ここはお互いの言い分が通った形となりました。
黒27(白24の下)では、単に黒29とツグ方が勝ったようです。
参考図1−1

第2譜 35〜59手目まで

黒35のトビから黒41と芯を入れ、模様の拡大を行いました。
白42と下辺に打ち込んで来たのは大歓迎でした。
下辺は白32と白40で両側の裾が空いているので価値が低いところです。
白が増やした地は大したことはなく、黒は中央に向かって厚みができました。
黒59まで一段落した場面では良くなったかなと感じました。
AIは白42で右辺に手をつける進行を示していました。
参考図2−1

第3譜 60〜97手目まで

白60から模様を制限しに来ました。
この手には解説の林漢傑プロも、「入りすぎず浅すぎず」と好評でした。
対して黒61と様子見した手も褒めていただきました。
解説のとおり白60に対してすぐに良い手が見つからなかったので打ちましたが、AIは黒91と素直に囲って十分と言っていました。
白66まで進んだ時に、黒67の切りから捌く手順は覚えておいて損はないと思います。
参考図3−1

黒83では黒89のトビなら固かったですが、切られた場合は左上を捨てて白60を攻める構想でした。
参考図3−2

白90を本局の白の敗着とします。
この手は上辺とただ連絡しただけの手で、どうせなら黒91の地点に踏み込んで行くべきでした。
AI評価値もこの手で急降下しています。
参考図3−3

第4譜 98〜121手目まで

白98に対して右から押さえたところ、白100から黒地を荒らしに来ました。
ここから難解な実践詰碁となり、解説のお二方も必死にヨミを入れて検討していました。
黒121まで白に部分的な生きは無いようです。
参考図4−1

白1のハネが最強の抵抗ですが、黒2が良い手です。
実は私はこの手をヨメておらず、実践で白1と打たれていたら生きられていました笑
欧米かさんは私のヨミを信頼してくれたようで、とても運が良かったと思います。
しかし黒には外側にキズがあるため、まだ完全に取り切れてはいません。
第5譜 122〜171手目まで

白122・124の出切りから黒の弱点を突いて来ました。
この辺りで私は秒読みに入りました。
解説でもありましたが、白128の押さえは先手で一眼を狙った一手です。
参考図5−1

実践は黒129で先手一眼を阻止しました。
白が攻め合いに来ても黒が勝つことはヨメていました。
黒131のワリコミが決め手で、先手で白を一眼にすることができました。
黒のダメが詰まっていますが、黒89がちょうどいいところにあるため問題ありません。
黒155では中央を守ったほうが安全でした。
白160の切りで少しヒヤッとしましたが、黒167・171の2連並びが味の良い手で、最後はすべての白を仕留めることができました。
参考図5−2

まとめ
1回戦で前回優勝の欧米かさんという強敵に運良く勝つことができ、2回戦以降の弾みをつけることができました。
久しぶりに大石を取っての勝ちだったので、非常に気持ち良かったです(*´ω`*)
次回は2回戦の解説を行いますので、そちらも楽しみにしていてください。