はじめに
今回から東北六県大会での対局を解説していきます。
くじ引きの結果、1回戦は宮城県との対戦でした。
私の相手は前回岩手県チームの選手として出場しましたが、今回は地元の宮城県で参加しました。
なので私たちにしてみれば裏切り者というわけです笑
これまでに練習では数局打ちましたが、大会という場で初めて対局することになりました。
第1譜 1~35手目まで

大将のニギリの結果、私の白番となりました。
黒11までは以前対局した時も同じ形になった記憶がありますが、ここで白12と変化してみました。
白22では両ガカリにする手もありましたが、右辺の黒を攻めたかったので24とセットで絡み攻めに出ました。
白26と抑え込めたのが気持ちよく、黒35と手を戻させて先手を取ることができて不満のない立ち上がりとなりました。
第2譜 36~70手目まで

白36から右辺の攻めに出ましたが、白42では単に48と打つ手がありました。
実践は黒43・45の出切りがやりすぎで白48にまわれたので良かったですが、右辺に根拠を持たれていたら攻めが空振っていました。
白70では守らずに黒を厳しく攻める手があったようですが、これでも白が打ちやすい形勢です。
参考図2-1

第3譜 71~115手目まで

黒71に対して出切ったのはやりすぎで、冷静に受けるくらいでした。
対局中はやれると感じましたが、白78と手を戻すようでは変調でした。
しかし黒91のツケから左上を生きに行ったのが負ければ敗着という手で、左辺に黒を閉じ込めて生きを強要させた場面では白優勢になりました。
参考図3-1

第4譜 116~145手目まで

白116と絶好点に打てた時は勝ちを確信しましたが、上辺の白も薄いため白130では手入れをするところでした。
ですが白140が世紀の大悪手で、黒145のオキを完全に見落としていました。
打った後に気付きましたが時すでに遅しで、逆に白が潰れています。
白140では一路上に打っていれば何事もありませんでした。
この瞬間を見ていた監督と先に対局を終えた大将は顔面蒼白となり、ただ1人を除いてはチームの負けを覚悟していました。
参考図4-1

第5譜 146~208手目まで

白146の一線ハネから左辺の黒を手にしに行きました。
白148を先に打たなかったのは、黒147と押さえてくれる確率を少しでも上げるためです。
白150の切りから左辺の黒を天下コウにして再逆転に成功しました。
この後下辺と右辺の白を両方凌いで勝ち切ることができました。
まつひかマジック



おまけ
運良く負け碁を拾うことができましたが、対局終了後には観戦していた監督から「やめてくれよ笑」と言われました。
大将に至っては、同行していた岩手日報の記者に「ダメです逆転負けです」と悲痛な声で伝えていたようです。
本局だけを見れば酷い内容での運勝ちですが、大会全体を見るとこの勝ち方をしたことによって岩手県を優勝させることができたと感じています。
改めて囲碁はメンタルが非常に大事なゲームだと痛感した1局でした。