はじめに
こちらの記事で予告した通り、今回は4月2日に行われた岩手王座決定戦決勝の自戦解説をします。
王座戦は過去何度も悔しい負け方をしていましたが、今回ついに初めて決勝に進むことができました。
決勝の相手は昨年の岩手竜星戦・岩手棋聖戦挑戦手合に引き続き、3大会連続で小学生時代の師匠となりました。
王座戦初優勝ならびに東北六県大会に大将として出場するための最後の壁として、最も相応しい相手だと思います。
第1譜 1~20手目まで

ニギッて私の黒番となり、王座戦では5局すべて同じ手番となりました。
昨年の王座戦では黒番への苦手意識があったので、AIでの研究や対局プランを徹底的に準備してきました。
黒11までが計画通りの布石で、1回戦と準々決勝でも全く同じ展開でした。
当時はこの時点で黒必勝だと思っていたくらいにはオススメです。(言い過ぎ)
白20まで穏やかな布石になりましたが、次の一手から激しくなりました。
第2譜 21~73手目まで
42▶️45の下 46▶️45の右

黒21が対局中突然打ってみたいと感じた一手です。
白18が無ければ参考図のようにAIも示す有力な進行になりますが、実戦のように三々に白石がある場合はどう変化するのか知りたくなりました。
白26では27と出てくる手を予想していたので少し意外でした。
黒37では単に41が正しく、白38でも70と押さえればワタリを見た好手でした。
黒55は白から良いコウダテが無いと判断してアテました。
唯一利くとすれば自らアタリに突っ込む手ですが、正しくても実戦的にやりずらいでしょう。
白68のワリコミから黒が取られないことも見越してコウはすぐに解消しました。
右辺の戦いで一気に黒勝勢となりました。
参考図2-1

第3譜 74~110手目まで

白は形勢が悪いとみて74から斬り合いに勝機を求めてきました。
白80のアキ三角を打ってきたことからもその覚悟が伝わってきます。
黒89は軽率な一手で、一路上に押さえてくれるものと即断してしまいました。
白92で95の方から切るのは、シチョウが悪いため黒の要石が取られることはありませんが負けにしてもおかしくない場面でした。
参考図のように右辺の白を取ることはできたようですが、上辺とフリカワリなるので避けました。
左辺の黒と連絡できたので、あとは下側を上手く処理できれば勝利が見えてきます。
参考図3-1

第4譜 111~171手目まで
158=163

黒111はお互いの根拠に関わる大事なところです。
黒113では単に115が勝りました。
白114に対する適当な受けがなく若干困りました。
黒125・137で右下が連絡できて一安心ですが、白は最後の勝負で138から左辺を狙いにきました。
黒145では146から確実に白2子を取りに行けば安全でした。
白148がしぶとい手で、黒3子との攻め合い含みの形にしてしまいました。
白はどこかで左上に渡る思っていましたが、154まで取りに来られたので一瞬焦りました。
この辺りで残り5分を切っていましたが、持ち時間をすべて投入して読み切る決断を出来たのが勝ちにつながりました。
黒155とワタリを防ぎ、黒165まで攻め合い一手勝ちになりました。
ですがAIによると、参考図のように白160の前に切りを打っていれば白の先手ゼキだったようです。
これでも左辺の黒は死なないので勝ちには変わりないですが、まったく読みに無い手を打たれて秒読みに入ることになるので、さらに焦ってミスをしたかもしれません。
白は仕方なく中央の黒6子を取りましたが、171まで左下も取られてしまい黒の勝ちが確定しました。
参考図4-1
1=15▶️2の下 7=16

第5譜 172~211手目まで
177=193▶️176の下 180=196 202▶️173の下 208▶️209の上

白172から右上をコウにしてきましたが、生かしても問題ないくらい大差なので冷静に黒181とツナギました。
黒191と分断して右辺を取ることができました。
最後の方は気持ちの整理の時間だったと思います。
まとめ
本局に勝利して王座戦を制したことで、念願であった岩手県チームの大将に就くことができました。
その後過去最悪の不調を乗り越えて大将戦優勝を果たし、団体連覇に大きく貢献できたことは一生の宝物です。
次回からは東北六県大会での大将戦5局を自戦解説するので、ぜひそちらも御覧ください。
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