はじめに
先日、目標であった野狐9段昇段を達成することができました。
自分のなかでは、岩手県で囲碁を教えるにあたって最低限の資格だと考えていたので、やっとスタートラインに立てたと感じます。

昇段後はしばらく野狐で打っていませんでしたが、数日前に野狐9段の方と対局してみようと思って久しぶりに起動したので、今回は野狐9段戦初対局を解説していきます。
私の黒番で、持ち時間は5分+秒読み30秒3回です。
第1譜 1〜12手目まで

中学生時代3連星にハマっていた時期がありましたが、当時はあまり使いこなすことができませんでした。
しかし野狐9段に昇段した後にAIで3連星を研究していたので、いつか実践で使ってみたいと考えていました。
ある意味今回は3連星デビュー戦でもあります。
白12では左上をシマル手もあります。
第2譜 13〜50手目まで

白が左上をシマラなかったので、黒13では左上にカカリました。
白14のハサミに対しては三々に展開する手もありますが、せっかく3連星で構えているので黒15とトビました。
人間同士の対局では、打ち方に一貫性を持たせるのが大事になってきます。
白16と二間トビで受けてきました。
二間に受ける打ち方は最近流行している手であり、また白10との関連からバランスの良い位置となっています。
黒17と予定通りにハサんだ石にカケました。
黒25では従来は黒1とケイマに受けていましたが、即座にワリコミを打たれる手が大きいようで、AIは実践のように三々を推奨しています。
参考図2−1

白26のオサエに対して白が1間に受けていれば2線をハネるところですが、実践だと2間に受けている手がピッタリの位置にいるため、黒27と這いました。
この手はAI最善手のようです。
白50まで進み、黒は左上に辛く地を持ちました。
この後左辺の黒と上辺の白の折衝がポイントとなります。
参考図2−2

第3譜 51〜94手目まで

黒51のノゾキは様子見でしたが、すんなり白54と左辺に連絡してくれたのは有難かったです。
黒55のケイマが気持ちよく、あわよくば上辺の白も狙っています。
白56のトビに対して黒57のノゾキから戦いが始まり、黒81と連絡できたあたりで優勢を意識しました。
しかし白82の出から白84の両アタリを読み抜けしており、白86から左辺の黒全体を取りに来られて危なくしてしまいました。
黒73では単に1線をオサエて渡るべきだったかもしれません。
お互いの大石の生死がかかった難解な戦いへと突入しました。
参考図3−1

第4譜 95〜144手目まで

黒95から脱出を試みましたが、白98と負けじと取りにきました。
左辺黒の生死がこの勝負の明暗をわけます。
黒103では黒2子を逃げる手もありましたが、ヨミきれなかったため黒103から利かしにいきました。
参考図4−1

黒131と白4子をアタリにしたのも時間つなぎ。
この時点では私の秒読みが1回しか残っていなかったので、時間つなぎをうまく活用する必要もありました。
白はワリコミから黒3子を取れましたが、左辺の黒が生還しては勝負にならないので、あくまで黒全体を狙いにきています。
左辺は黒137が利いているため、なんとか生きることができました。
あとは下辺の黒が取られなければ勝つことができます。
参考図4−2

第5譜 145〜155手目まで

黒145と白2子にツケたのが最後の秒読みのなか発見した「神の一手」
我ながらよく打てたと思います。
またこの手はAI最善手でもありました。
神の一手

平凡に一路上にケイマでも勝ちのようですが、コウになってしまってはまだまだ先の長い勝負になります。
参考図5−1

最後は白2子がシチョウで取られてしまいましたが、白154でアタリを利かしてもケイマで白を取ることができます。
黒143と黒145のコンビネーションで白は痺れてしまいました。
参考図5−2

まとめ
野狐9段戦初対局を勝利で飾ることができたのは非常に嬉しく、大きく自信をつけることができました。
また相手も野狐9段ということでヨミが深く、簡単には勝てない勝負でとても楽しかったです。
「そなたの力があってはじめてこの棋譜はできたのです。誇りなさい」との佐為のセリフが浮かんできました笑
今後も時間があれば野狐9段戦を打とうと思っているので、良い棋譜ができたらまた解説の記事を書く予定です。
とりあえず野狐8段に落ちないようには努力します笑