はじめに
11月21日(日)、日本棋院久慈支部で岩手棋聖戦挑戦手合が開催され、岩手棋聖のタイトル保持者の小林公郎棋聖との対局に臨みました。
当日は挑戦者決定戦の決勝戦で私と対局した方を含めて数人ほど観戦しに来てくれました。



私は9年前、高校2年生のときにも同じ小林公郎棋聖に挑戦しましたが、そのときは圧倒的な力の前に為す術もなく敗れてしまいました。
今回は9年前のリベンジをなんとしても果たしたいと思っていました。
また前回の挑戦者は私の最初の師匠である江村秀弘さんで、過去六度挑戦しましたが、尽く跳ね返されていました。
ですので、師匠の敵討ちという意味でも絶対に負けられない戦いでした。
対局解説
ここから少し対局の解説をします。
詳細は後日、読売新聞に私の自戦記が掲載されるので、よかったらそちらも合わせて御覧ください。

もし黒番を引いて相手が二連星を打ってきた場合は三連星でいこうと思っていました。
ここ数日は武宮正樹先生のタイトル戦での対局を何度も並べていたので、勉強の成果を試す意味でもやってみたかった作戦です。
序盤から上辺で戦いが始まりましたが、最終的なワカレである黒の白7子取りと、白の右辺へのなだれ込みでは明らかに白が得をしました。
実践は上辺の白2子を取れていて黒優勢だと思っていましたが、実は生きが残っていたため形勢判断を誤ってしまいました。
検討では黒1と打てば取れていたという結論になりましたが、AIにかけてみると白6・8というシノギの妙手がありました。

評価値的には200手目近くまでは白勝勢でしたが、白が左下のコウを解消したのが小さく、黒201のツギに打てたことで逆転しました。
私は秒読みには野狐で慣れていたので常に冷静でいられましたが、小林棋聖は秒読みに入ってから焦って着手する場面が何度もありました。
黒231の切りが成立することを読めたことに対しては記録係の簡さんも驚いていました。
ヨセでも黒が5目ほど得をし、最終的には8目半という大差で勝つことができました。
まとめ
今回は小林公郎棋聖に勝つことができて嬉しかったですが、66歳で病み上がりとは思えないほどパワフルな碁で、改めて強さを実感しました。
今も勝ったことを実感できずに、読売新聞の記事を何度も開いて確認するほどです。
来年はタイトル保持者として、私を楽しませてくれる挑戦者を待とうと思います笑
しかし今回の対局で、まだまだ詰碁の勉強が甘いということを実感したので、大橋拓文先生の『万里一空』を解けるようになろうと思います。